5月25日に行われたJERCO((社)日本住宅リフォーム産業協会)主催による勉強会に参加してきた。今回のメインテーマは『木造住宅の雨漏り、劣化リスクを考える』。
講演のトップバッターで、この“雨漏り”の第一人者、東海大学名誉教授の石川廣三先生は『雨仕舞の基本』をテーマにされ、“雨漏り”(若しくは、漏水)の原因は、「構造性能や省エネ性能は向上しても、建築の根源的は働き-雨露をしのぐ-事が果たせない実態が有る」とおっしゃる。
その根底には、
① 防水材料の普及と過度な依存
② 雨と建物の関わり、建物表面や内部での雨水の動きを考えない設計
③ 防水ラインが破城すると雨水に対して無防備な建物が増えている
が有るが、
1) 雨の降り方を考え、雨水が建物にかかるのを軽減する
2) 建物にかかってしまった雨水の動きと対策、隙間から入ってしまった雨水の動きと対策(水抜き)をしっかり行えば、”雨漏り”が起こることは少なくなるとのご教授だ。
石川先生の講演を受けて建材メーカーの田島ルーフィング㈱(“防水”に関する資材を販売)の高山氏からは、防水工事の工法を映した動画を見ながら、
① 正しい施工手順(下側から施工)と施工方法(重ね合わせ部分を作る)で行う
② 取り合い部は配慮が必要(重ね合わせの順を考慮し、しっかりと密着させる)
と説明が有った。
続いては、住宅保証機構㈱(建設業者向けの保険会社。建物に万が一瑕疵があった時の保証)の浅沼氏が保健事故(雨漏り、漏水)の実例を検証写真と共に説明され、下記の様に事故分析をされている。
① 9割強が外壁・屋根からの雨漏り
② 手順や方法が間違っている事が被害につながっている
「せっかく修理を行っても、また同じ間違いで事故が起こってしまっている」とし、高山氏、浅沼氏のお二人は共通して、
「『基本を守る事』。それは、適正な材料を、正しい施工手順と施工方法と守る。そうすれば雨漏り(漏水)は防げる」
という言葉で講話を閉められた。
これから、雨の季節だ。梅雨から始まり夏の台風、秋の長雨。
浅沼氏の話しの中にも、これからの時期に雨漏り事故が多発するとの言葉があった。
改めて『基本』の一つを考える貴重な時間となった。
わたなべ きょうこ