知識・勉強

カテゴリー : 知識・勉強
2017.8.6 18:38

私は材木屋の店主ですが、木材の市場にもあまり行ったことがありません。それじゃどうやって材木を仕入れてるの?って思われるかもしれません。昭和40年代、父が店主の頃は、市場で競りが日常の商い慣習として行われていて、父も市場の競りで引き当てないと仕入れが滞り、商売ができなくなる時代でした。私の世代は卸問屋に必要なものを注文すれば、その日のうちに少量でも届けてくれるのが慣習になっていますので、市場の競りで引き当てを行わなくても木材の仕入れができます。さらに私は建材と住設の卸問屋で修行しましたので全く木材の市場には疎遠だったのです。

木曽視察の2日目は、木曽官材市売共同組合の市場を見学しました。ちょうど一年で一番大きな市の日に当たり、全国から買い付けをする人たちが集まっていました。現物を見て値段をつけ、競りをして仕入する商いの慣習が今もあるからです。

製材された天然の木曽桧は杢目が細かく(写真)良質な材料であることがよくわかります。前日の赤沢の森の視察で木曽の300年生の立木の太さが、他で見る植林した桧の90年生くらいと同じ太さに感じましたので、杢目のつまり方は約3分の一程度(10ミリの中に杢目10本以上)であるのがよくわかります。

柱や鴨居、敷居といった造作に無垢のまま使うのは、伊勢神宮を代表とした寺社建築や高級店舗のカウンターなどが主で、断面寸法の大きなものは単板用途になるとの事です。

私の会社では年に1,2回程度寺社関係の工事の際に手当てをするくらいです。

上松の土場には切り出された桧やサワラの原木が積まれています。こちらでも輪切りになった原木の元口を見ると杢目のつまった様子(写真)がよくわかります。

杢目のつまった木曽桧は製材後の狂いが少ない為、建築用材としてだけでなく、卓球のラケットなど様々な用途で活躍しています。

池田浩康